小泉 愛
リサーチャー・プロジェクトリーダー
Message
人が時を重ねて生きていく中、脳は環境への適応を支えてくれています。ですが、遺伝が脳の発達を大きく方向づけたり、トラウマが脳に強い記憶を刻み込んだりと、脳の適応力は弱まってしまうこともあります。私は、そうした脳の振る舞いを必ずしも「異常」として捉えるのではなく、「揺らぎ」や「個性」として享受できるメンタル・バリアフリー社会の実現を目指します。
例えば、トラウマ経験の直後から脳や心の揺らぎをモニタリングし、PTSD発症を予測して適切な予防に繋げる技術の構築と普及に取り組みます。また、一見すると不適応に見える脳の個性にも、その裏には優れた才能が潜んでいる可能性に着目し、精神疾患を従来よりも包括的で肯定的に捉える研究アプローチの構築にも取り組みます。こうした研究活動を通して、誰もの脳の揺らぎをしっかりと見守り、脳の個性に価値を見出して活かせる社会づくりに貢献します。
Profile
ニューヨーク州立大学 卒業(心理学・映画学ダブルメジャー)、東京大学大学院 人文社会系研究科で博士号(心理)取得。コロンビア大学心理学部、情報通信研究機構 脳情報通信融合研究センター 研究員を経て、現在はソニーコンピュータサイエンス研究所 リサーチャー。これまでに、慶應義塾大学政策・メディア政策科 特任講師、国際電気通信基礎技術研究所 連携研究員、科学技術振興機構 さきがけ研究員、日本学術振興会 特別研究員・海外特別研究員・卓越研究員、NTTコミュニケーション科学基礎研究所、日米科学技術協力事業「日米脳」共同研究員を歴任。